ヴァンタン
そう、外国航路の船長だったパパの土産だった。


『頼まれた、魔法の鏡だそうだ。言っておくが本物だぞ』
そう言いながら、屋根裏部屋で手渡してくれた。


――そんな馬鹿な!?

そう思った。


でも私は確かに、その鏡が欲しいとねだっていた。

これから航海に出ようとしていたパパに……

でも本物だと言うパパの言葉が怖くて、それ以上見なかった。


だからずっと此処に置いたままになっていた……
筈だった。


だけど影も形もない。
あの鏡が全てを知っているように思えた。


パパは私のおねだりを無理をしてまで叶えてくれた。

それなのに私は、ワガママだった。
あの鏡は今何処にあるのだろうか?


まずあの鏡を探す事から始めなければいけない。
そう思った。
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