ヴァンタン
遠くに船らしき物が見える。
必死に転覆したボートの上で手を動かす。
でも行く手を遮るかのように、何かが近づいて来る。
その背鰭に私は腰を抜かした。
――サメだ!
私はパニックになった。
でもそれは良く見ると、イルカだった。
私達の行動を邪魔でもするかのように、イルカ達が遊んでいた。
「わぁーイルカだ〜!!」
思わず大きな声を出してはしゃいだ私。
――ヤバい! どうしょう、気付かれる。
そう思った。
――こっそり行かなきゃ意味がない。
私はその事を肝に命じた。
「シッ!」
私は人差し指を唇に近付け、イルカの群れを追い払おうとした。
その時だった。
イルカ達が一斉に暴れ出した。
ひっくり返って、船底を晒しているボートの上から今度は投げ出された。
それを見つけたイルカが遊ぶ。
私はチビを必死に抱え、青白い顔を海に写していた。
バスルームでの水鏡が脳裏をよぎった。
――この暗示だったのか!?
――引き込まれたら……
――パパを助けに行けなくなる!?
私は祈るような気持ちでイルカを見た。
イルカは図に乗ったらしく悪戯根性むき出しに近付いて来る。
――もう駄目だ!
そんな思いが脳裏をかすめる。
それでもヤケクソだった。
体当たりしてきたイルカの背鰭に手を伸ばした私。
必死に転覆したボートの上で手を動かす。
でも行く手を遮るかのように、何かが近づいて来る。
その背鰭に私は腰を抜かした。
――サメだ!
私はパニックになった。
でもそれは良く見ると、イルカだった。
私達の行動を邪魔でもするかのように、イルカ達が遊んでいた。
「わぁーイルカだ〜!!」
思わず大きな声を出してはしゃいだ私。
――ヤバい! どうしょう、気付かれる。
そう思った。
――こっそり行かなきゃ意味がない。
私はその事を肝に命じた。
「シッ!」
私は人差し指を唇に近付け、イルカの群れを追い払おうとした。
その時だった。
イルカ達が一斉に暴れ出した。
ひっくり返って、船底を晒しているボートの上から今度は投げ出された。
それを見つけたイルカが遊ぶ。
私はチビを必死に抱え、青白い顔を海に写していた。
バスルームでの水鏡が脳裏をよぎった。
――この暗示だったのか!?
――引き込まれたら……
――パパを助けに行けなくなる!?
私は祈るような気持ちでイルカを見た。
イルカは図に乗ったらしく悪戯根性むき出しに近付いて来る。
――もう駄目だ!
そんな思いが脳裏をかすめる。
それでもヤケクソだった。
体当たりしてきたイルカの背鰭に手を伸ばした私。