モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
昨日までのように服を脱がされて
裸にされるのは、ちゃんと
覚悟していた。

記憶があいまいだったとしても、
何度か裸体を見られた相手だし、
仕方のないことだとどうにか
折り合いをつけた。

しかし、自分から脱ぐとなると
だいぶ話がちがってくる。

姫乃の両親は自由奔放な
姫乃をそのまま大事に
育ててくれたが、同時に、
ある程度の礼儀や作法に関しては
きちんと躾をしてくれた。

だから、身体を売り物にしている
娼婦たちのように自ら裸体を
晒すことはどうしても
激しい抵抗を感じる。

その反面で、自身の言動には
責任を持て、といった、
父の教えも頭をよぎった。

餌になる、と言い出したのは
自分なのだ。

いまここで、拒否するのは
父の教えに反するのだろうか。
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