モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「僕は彼と違って、自分から
脱ぐような女は好みじゃない。
脱がせる方が楽しい。」

「僕だってそうですよ。
娼館の女のように自分からなんて、
おもしろくもなんともない。」

ノークスを睨みながら凍夜が
答えると、ノークスも不満そうに言う。

「…。…そ、う。」

女性の好みはまったく違うらしいのに、
姫乃の髪のことといい、女に対する
こういう細かい要望は同じ意見になるのね。

そんな、わりとどうでもいいことを
思いながら、姫乃はその場にへたりと
座りこんでしまった。

「あ…ご、ごめんなさい、腰、
抜けちゃったみたい…。」

緊張が緩んで力が入らない身体を
なんとか立たそうとするが、
ちょっと難しいかもしれない。

そう思っていたら、姫乃の身体が
ふわりと持ち上げられた。
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