モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「東雲(シノノメ)が、家具の
下敷きになっちゃって動けないの!
助けて!!」

「…。」

東雲というのは、凍夜の
従僕の少年のことだ。

姫乃は従僕を監視として
つけることを条件に、
玄関ホールと庭以外の
好きな場所に出入りしている。

姫乃につけられたのは、
凍夜の従僕の少年と、
ノークスが長く使い続けている
2人の少女の従僕だ。

最初こそ、姫乃は
3人についてまわられる
状況を鬱陶しがっていたが、
2、3日もすると慣れたのか、
それとも考え方を変えたのか、
3人を自分の行動に積極的に
巻き込み始めた。

そんな姫乃が、3人を呼ぶのに
不便だから、と凍夜の従僕に
与えた名前が、東雲だった。

ちなみに、ノークスの
古くからの従僕も、
天明(テンメイ)と
黎明(レイメイ)という
東雲と同じ明け方の意味を
持つ名前をつけられている。

「どうしよう、窒息したり
しないかしら。骨とか折れてたら…
早く手当てしないと…。」

真剣にうろたえる姫乃のあとに
続いて、東雲が無事なのは
わかっていたが凍夜も
姫乃の部屋に向かう。
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