モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
東雲は凍夜の分身だ。

人の形をしていても、
もとは血液の塊であって、
生き物ではない。

圧死なんてするわけがないし、
身体に違和感を感じることはあっても、
苦しいとか痛いとかの感情は
一切持たないのだから、
姫乃が心配する理由は
実のところ一つもないのだ。

それでも、凍夜がついてきた理由は、
その現場に興味があったからだった。

主人である凍夜が身体能力に
秀でている分、従僕の東雲も
普通の人間の比ではない
身体能力を持っているのに、
一体、どうしたら荷物の
下敷きになって身動きが
取れなくなるのだろう。
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