モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「マスター。…申し訳ありません。
身体が引っかかって、家具を
壊さずには身動きがとれません。」

東雲の言い訳を聞いて、
なるほど、と凍夜は珍しい
光景に納得がいった。

彼はこの部屋の主である
姫乃に気を使ったらしい。

「…別にかまわないけどね。」

そういって、東雲に触れると、
東雲の身体はゆるりと
融けて液体になる。

凍夜の念じるままに深紅の
液体は凍夜の手の中で
漆黒の剣に変わった。

「よかった。ケガとか…
してない?」

「問題ないよ。」

「…!お嬢様!」

心配する姫乃の問いに答えた瞬間、
黎明が叫んだ。
< 110 / 726 >

この作品をシェア

pagetop