モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「それ、昨日作ったばかりなのよ!
サイズも少し小さめだし、
返してちょうだい!」

「嫌だ。片づけを手伝ったんだから、
貰っていく。」

「あ、あなた、どうして
そういうところで変に
こどもっぽいの!?
こないだだって…。」

「僕は子供じゃない。
それにあのロッキングチェアは
もともと僕の部屋に
あったんだから、僕のだよ。」

「いらないから部屋から
出したくせに、人が使うのを
見て使いたくなっただけでしょ!
そういうところがこどもっぽいの!」

そんなささやかな言い争いを
しながら、姫乃は聞く耳を
持たずに歩いていく凍夜を
追いかけて行った。
< 114 / 726 >

この作品をシェア

pagetop