モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
昼食が終わり、暇つぶしに、と
従僕たちの銀食器磨きを
手伝っていた姫乃は、突然、
いらない布を欲しがった。

たくさんほしいというので、
天明が不要になったリネンを
かき集めてくると、姫乃は
東雲に頼んで広間の階段や天井に
そのリネンを結びつける。

そして、最後は自分の身体を
きつく縛って、制止する間もなく、
吹き抜けの広間の2階から
素知らぬ顔で飛び降りた。

これにはノークスはもちろん、
凍夜もあわてた。

古いリネンは、姫乃の重みに
耐えきれず、途中で裂けてしまい、
凍夜が受け止めなければ、
姫乃は頭から一階の床に
突っ込むところだった。

ちなみに、このときの理由は、

「バンジージャンプって、
空を飛んでるみたいで
楽しそうじゃない?
女の子としては一度
やってみたいっていうか。
準備でも時間が潰せるし、
いいかなって。」

なにが女の子としては、
なのだろう。

そもそもそれは淑女の
遊びじゃない。

そしてこんな雑な準備では、
時間ではなく身体が潰れる。
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