モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

ズグット―ノークス

上機嫌でズグットの首を
落とした姫乃は、慣れた
手つきで次々と捌き始めた。

その様子にどんびきして
黙り込むノークスは、
同じく隣で黙り込んでいる
凍夜を見る。

ノークス同様、姫乃の
あまりに大胆な行動に
ひいたのかと思いきや、
その顔は興味津々といった
様子だ。

「はい。召し上がれ。」

唐突に、姫乃が小皿を
差し出した。

小皿の上には、薄紅色の
きれいな身が乗っている。

「ここは、生で食べるのが
一番おいしいのよ。
鉄とか銀に触れると味が
落ちちゃうから、手で食べてね。
…お行儀は悪いけど。」

そういって、期待感
いっぱいの目で見つめてきた。
< 127 / 726 >

この作品をシェア

pagetop