モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

突然の企み―姫乃

珍しくあわただしい
厨房の中心で、姫乃は
てきぱきと従僕たちに
指示を出していた。

昨日、凍夜が捕獲してきた
ズグットは、鮮度が
落ちるのが異様に早い。

数日中にある程度の調理が
必要なので、姫乃は昨晩、
徹夜でやってしまおうと
したのだが、従僕たちが
やると言ってきかないので、
簡単だが量の多い下ごしらえと、
翌日に使う調理器具の
準備だけ頼んだ。

おかげで、昨晩ズグット
料理に必要なもう一つの
準備に専念できた姫乃は、
調理に忙しい中でも上機嫌だ。

「お嬢様、少しお休みに
なりませんか。」

ある程度のめどがたった
ところで、飲み物を
持ってきた東雲に声を
かけられた。
< 132 / 726 >

この作品をシェア

pagetop