モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「ありがとう。でも、
せっかくだから最後まで…。」

「問題ございません、お嬢様。
加工はおおむね終了して
おりますし、あとは保存用の
小分けと後片付けのみです。」

「おとなしくしていてくださいませ。
これ以上は私たちの仕事が
なくなります。」

愛らしい幼女姿の天明と黎明に
真剣な顔でそう言われると、
さすがの姫乃もでしゃばりづらい。

仕方がないので、従僕たちの
作業を見ながらおとなしく
休憩をとる。

「そういえば、凍夜と
ノークスはお昼寝中?」

昨日はじっと姫乃の調理を見て
おもしろがっていた凍夜が、
今日は朝食の後姿を見せていない。

姫乃がここにいると、
凍夜は知っているはずなのだが。

「マスターとノークス様は、
城内にいません。」

「…どこに行ったの?」

「教えられません。」

「二人揃って同じところに
出かけてるの?」

「教えられません。」

「…いじわるね。」
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