モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「困ったわ…。二人が
戻るのを待っていたら、
ズグットを殺して
まる一日経っちゃうから、
祟られちゃうし…。」

「…祟り、ですか?」

「そうよ。ズグットはね、
きちんと供養しないと
祟るのよ。」

「祟りなんて、マスターは
信じていません。お嬢様が、
そういう信心深いことも、
信じられません。」

「失礼ね。それは、
確かにわたしもそういうのを
簡単に信じる方じゃないけど…。」

…何か、怪しまれたかしら?

いや、まだ、いけるだろう。

「でも、困ったことが
起こるのは本当なのよ。
昔から伝わってる話だし、
何より、供養しないで
祟られた村人を実際に
私が見たことあるんだから。」

これは、本当の話
だったりする。

疑わしげな様子で姫乃を
見る東雲が黙っていると、
天明がのってきた。
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