モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「でね、不思議なことに、
その死んでしまった男の人の
他にも、同じように貰った人が
いたんだけれど、その人は
とても信心深くて貰って
その日のうちにきちんと
供養したんですって。
そうしたら、その人は、
まったく当たらなかったの。」

「…偶然です…。」

姫乃の話を聞き終えた東雲が、
一番最初にそう言い切った。

しかし、断定する言い方とは
うらはらに、その声は自信が
なさそうに思う。

黎明と天明を見ると、
彼女たちも、どこか
不安そうで落ち着かない
様子だった。

3人が何を考えているかは
よくわかる。

自分たちの主も、昨日、
ズグットを口にして
いるのだから。

信じていないといった
ところで、もし、万が一の
ことがあったら大問題だ。

従僕たちの様子に、
姫乃は自分の目論見
どおりにコトが運びつつ
あることを確信する。

あとは、悟られない様に、
慎重に、誘い出せばいい。
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