モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…。連中の食事の
あとはいつ見ても、
気にくわないね。」

壺の中には、食いちぎられた
衣類とひび割れた骨、
そしておそらく暑さで
腐りかけた内臓の一部
らしきものが入っていた。

「…キミの血から作られた
喰血鬼の仕業だと思う?」

「わかりませんね。そもそも、
僕の意思で作ったことが
無いのですから、判別の
仕方がわからない。
別の吸血鬼の物かもしれませんし。」

「…まぁ、どちらにしても
全部潰して回るけどね。
僕は、喰血鬼が嫌いだから。」

「ぜひ、そうしてください。
喰血鬼を作るような他の吸血鬼の
意図など僕たちの知るところでは
ありません。」

そういって壺の上にあった板を
元に戻す。

いずれ、村の誰かが住人の
不在を不審に思うなり、
腐臭に気づくなりすることだろう。
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