モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…申し訳ありません、
マスター。」

3人は姿を見せるなり、
そういった。

「…お前たち…。」

彼らにとって、主の命令は
絶対だというのに。

それなのに、彼らは
命令にそむいて姫乃を
連れ出したのだろうか。

「…命令違反を問う
つもりはないよ。
姫乃に、うまく出し
抜かれたね。
…どこから来たの。」

特に苛立ったようすも
見せず、凍夜が問いかける。

森へ向かいながら、
東雲がズグットの祟りの
話とここに来るまでの
いきさつを語っている間、
凍夜はとても楽しげに
聞いていた。

「そんなところに、
抜け道が…。」

東雲の説明に、ノークスは
あっけにとられる。

厨房にそんなものが
あることにはもちろん
驚いたが、古い建物だ。

そういう類いのものが
存在しても不思議ではない。

むしろ、なぜその
抜け道を姫乃が
知っているのか。

そちらの方が問題だ。
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