モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

妹との再会―凍夜

「…確…。」

「サラっっ!!」

おそらく、同意を
示そうとしただろう
ノークスの声が、
聞きなれた声に
かき消された。

森を出るか出ないか、と
いったところで、
銀髪の少女が足を
止めて振り返る。

サラ、と呼んだ
その声は、少女が
今来た方向から聞こえた。

「サラ!!」

再び、同じ呼び声が
聞こえる。

少女が、その声の
主を認めて、我を
忘れたように駆けだした。

「お姉さま!!」

そう、少女は叫んだ。

今にも何かに
つまずきそうな
足取りで走る少女を、
抱きとめたのは
姫乃だった。
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