モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「姫乃は、なぜ…。」

ぽつりと呟いて、その先を
続けなかったのは、
その疑問の答えに
思い当たったからだろう。

ノークスの考えていることは、
凍夜にもわかる。

…なぜ、幼い妹がいることを
告げなかったのか。

おそらく姫乃は、
警戒していたのだ。

大事な妹が、吸血鬼に
目をつけられることを。

実際、凍夜もノークスも、
子供から採取する趣味も
嗜好もないのだから、
姫乃の心配は杞憂でしかない。

しかし、そんなことを
知るはずの無い姫乃は、
気が気ではなかった
ことだろう。

凍夜は、だいぶ前から
そんな姫乃の思いを
感じ取っていた。
< 158 / 726 >

この作品をシェア

pagetop