モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
城で、明るく
天真爛漫に過ごす姫乃。

望んで餌になる、と
言った日から、彼女は
徐々にではあるが快楽を
受け入れ、日を重ねる
ごとにその血はとても
甘美で清々しい味に
なっていく。

しかし、ずっと
変わらないモノが
その中に潜んでいる
ことに凍夜が
気付かないはずがない。



焦燥感。


それは、日々の中で
確実に増していくのに、
姫乃は強固な理性で
それを抑え込み
続けていた。

それでいて、彼女は
その感情のすべてを
微塵も表にだそうと
しないのだから、
いじらしい。

彼女がそれほど必死に
隠すものが、凍夜は
ずっと気になって
しかたなかった。
< 159 / 726 >

この作品をシェア

pagetop