モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
ほんの少しの間
固まった姫乃は、
どうにか笑顔で答える。

その微笑みがやや
ひきつっていることに
妹は気付いているだろうか。

「それは、だって、
たくさん食べないと
やりたいことが
できないもの。
あなたもちゃんと
食べなきゃダメよ、
サラ。」

「食べるのに、
不自由してないの?」

「…申し訳ないけど、
あなたよりいいモノ
食べてると思うわ…。
あ、そう、これ!」

そういって、懐から
包み紙を取り出す。

中身は見えないが、
香りから察するに
唐揚げか何かだろう。

微かに、香ばしい
においが鼻をくすぐった。
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