モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「ええとね、わたしを
連れていった人たちの
おかげで、わたしの
失敗が帳消しになった
みたいなの。
…だから、その人たちに、
恩返しをしたいの。」

「なにをするの?」

「…ええと…食事の、
用意…?」

ちょっと困った顔で
姫乃が答えると、
妹は俯いて小さな声で
何かを囁いた。

「…連れていくわけには
いかないの。…ごめんね。」

姫乃はなだめるように
妹を抱き寄せ、そう告げる。

「でも、必ず、また一緒に
暮らせるように、がんばるから。
わたしはお母様たちのように
あなたを置いて行ったり
しないわ。
姉さまの帰る場所は
あなたのいるところだけよ。」

姫乃のその言葉に、
妹は姉を抱きしめる
腕に精いっぱい力を
込めた。
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