モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
くびくびっと、のどがなり、
あまりお行儀がよくないとは
思ったが、お構いなしに
飲み続ける。

コップの中身を飲み干して、
男の顔をうかがうと、
特に気分を害した様子はなく、
まだ心配げな視線と一緒に
水差しを差し出された。

「もう一杯、飲みますか?」

「…大丈夫、です…。」

ようやく、呼吸も落ち着き
はじめ、沙羅は先ほど
言えなかったお礼を言った。

「お水、ありがとう、ございます。
…さっきも、助けてくれて、
ありがとうございます。」

「…礼を言うのはこちらです。
あなたのおかげで、騒動に
巻き込まれることなくあの場を
離れることができた。」

男は、そういって水差しと
コップを手近な棚の上に置いた。

「…。」

「…。」
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