モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「ケガならば、もう
治っていますよ。」

「…血がたくさん出てたのに。」

「人より、ケガのなおりが
早いのです。」

「…よかった。」

ここにきて、少女の口元が
ほころんだ。

その愛らしい微笑みに、
ノークスの口元もしらずに
緩んでしまう。

「…あの、長い紅いトゲは
どこに行ったの?」

目の色以外は全く似ていない
姉妹だと思ったが、好奇心の
強さは姉譲りらしい。

人外の力を目の当たりに
したというのに、それを
問う少女の瞳には恐怖の
色がない。

「…僕の中ですよ。あれは、
もとは僕の血液ですからね。」

そう説明しても、少女に
一切臆する様子は現れない。
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