モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
新たな日常―ノークス
教会に入っていく沙羅を
見送って、ノークスは猫の
姿でそばにつき従っている
黎明に当たりを探って
くるよう命じた。
あの日、沙羅が喰血鬼に
襲われて以来、気がつけば
毎日、こうしてあの少女の
送り迎えをしている。
最初は、あの姉妹に対する
罪悪感からだったが、
いつしか、ノークス自身が
彼女と会うのを楽しみに
するようになっていた。
朔夜、というのは、親に
与えられたノークスの本名だ。
彼女に名前を聞かれて、
とっさにそう名乗ってしまった。
ここにこうして訪れていることを
姫乃に知られたくない一心で
名乗った名前だったが、
ずいぶん前から誰も呼ばなくなった
名を沙羅が口にするのはひどく
懐かしく、心地よささえ感じている。
手近にあった樹木の影に身を
隠すように寄り掛かり、沙羅を待つ。
見送って、ノークスは猫の
姿でそばにつき従っている
黎明に当たりを探って
くるよう命じた。
あの日、沙羅が喰血鬼に
襲われて以来、気がつけば
毎日、こうしてあの少女の
送り迎えをしている。
最初は、あの姉妹に対する
罪悪感からだったが、
いつしか、ノークス自身が
彼女と会うのを楽しみに
するようになっていた。
朔夜、というのは、親に
与えられたノークスの本名だ。
彼女に名前を聞かれて、
とっさにそう名乗ってしまった。
ここにこうして訪れていることを
姫乃に知られたくない一心で
名乗った名前だったが、
ずいぶん前から誰も呼ばなくなった
名を沙羅が口にするのはひどく
懐かしく、心地よささえ感じている。
手近にあった樹木の影に身を
隠すように寄り掛かり、沙羅を待つ。