モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
彼女はおっとりとした性格で、
どこかぼんやりしている
おおらかな娘だ。

ノークスが人でないことを
打ち明けたにもかかわらず、
それを気にする様子は全くなく、
彼女の話し相手になっている
ノークスを純粋に慕ってくれている。

ノークスは気付いていないが、
そんな沙羅を前にすると、
ノークスの心はその時だけ
自身が抱えている復讐心から
解放され、とても穏やかな時を
過ごせるのだ。

教会の裏の扉があき、祈りを
すませた沙羅がノークスを
探すようにあたりをみまわす。

ノークスが木陰から姿を
見せれば、あどけない少女の
顔がふわりとほころんだ。

ノークスも、つられて微笑む。
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