モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「な、んで、凍夜がここに…!?
昼寝してたんじゃなかったの!?」

「もう、一時間以上経ってるよ。」

「え!?そんな、わたし、
てっきり…あ、の、これは、
その、ね…?」

時間を忘れるほど夢中に
なっているのが気になって、
姫乃の手の中の用紙を覗き込むと、
姫乃は慌ててそれを隠そうとする。

「…ずいぶん古い言葉だね。」

「!わかるの!?」

隠そうとしたくせに、
凍夜の言葉を聞くなり、
姫乃は目を輝かせた。

凍夜が姫乃の首から手を
離してやると、姫乃は
少しだけ迷うそぶりを
見せてから、恐る恐る
目の前のドアを指さす。

「あの、ね。ちょっと、
わからなくて困っていたの。」

姫乃の指さしたドアには、
この城でよく見かける
紋章が刻まれている。
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