モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「双子の月と、月下美人の
花がモチーフなのよ。
遥か昔に交わした約束を
代々守り続ける、と最初の
モントリヒト公が月に
誓った証なんですって。」

「…詳しいね。」

「…。」

黙り込む姫乃が、言わなければ
よかった、と言いたげに眉を
ひそめたので、追求するのは
やめておくことにする。

「…この文章を訳すと。」

そう、切り出すと、姫乃は
じっとこちらを見つめる。

その視線を受けて、凍夜は
訳した文章を読み上げた。


「月の光が照らせし道を
歩む者たちの行く先に、
新たな花守人の名が連なる。」
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