モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「あ、猫さん。」

そういって駆け出そうと
する沙羅を使いの男が
制止する。

「少しだけ…。」

ちょっと触るだけだから、と
いえば、猫は苦手だから
触ったらどこかに追い
払ってくれ、と言われた。

「猫さん、こんにちは。
あの、これ、朔夜様に
渡してくれる?」

一目で、朔夜の猫だと
わかった沙羅は、使いの
男に気付かれない様に
真っ白な毛長猫に便せんを
差し出してみる。

猫は、便せんを器用に
口で受取ると、身を
ひるがえしてかけていく。

その後ろ姿を見送って、
沙羅も地主の屋敷に向かった。
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