モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
扱いづらい嫌な目をした若造。

そんな第一印象からして
気にくわない男だったし、
当時地主が娶った幼な妻が
フランに熱をあげているのも
腹立たしいことこの上なかった。

そしてなによりも許せないのは、
あのフランが邪魔だてしたせいで
地主は一度、その地位を
はく奪されたことだった。

だから、あの男が若くして
死んだときは半狂乱で喜んだし、
あの男が溺愛していた最愛の妻に
裏切られた事実は地主を
おおいに喜ばせた。

フランの死後、美しい彼の妻が
喪服のままどこの馬の骨とも
知れぬ男の子を身ごもったという噂は
瞬く間に近隣の街や村に広まり、
地主は心からフランを嘲った。
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