モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…ごめんなさい。」

意を決した沙羅は
ぽつりと呟いて、
屋敷の窓枠に手をかけた。

あまり高くない窓だから、
沙羅でもどうにかよじ
登ることができる。

見つかったら、
すぐに謝ろう。

きちんと謝って理由を
説明すれば、多少
怒られはしても
許してもらえるだろう。

中に入ると、窓の下に
猫の足跡の形の土が
目について、慌てて
沙羅は靴を脱いだ。

靴の泥をほろい、
自分の足跡の土を
きれいに片づけて、
靴を抱えて猫の足跡を
たどる。

しかし、屋敷の奥の下り
階段の先の薄暗い廊下を
だいぶ進んだあたりで、
猫の足跡は消えてしまった。

仕方がないのであいている
ドアの部屋を静かに
確認して探していると、
どこかの部屋から人の
話し声が聞こえた。
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