モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…大丈夫。」

そう、答えて身体を
起こそうとすると、
頭を撫でていた手を
離して、朔夜が支え
起こしてくれる。

あたりを見回すと、
ここが沙羅の部屋だと
わかった。

「…。」

ぼんやりしたままの
頭でどうして自分が
ベットに入っている
のか考える。

窓の外はまだ明るく、
柔らかい秋の日差しが
室内を暖めている。

…そうだ。地主の
屋敷で、沙羅は体調を
崩したのだった。

「あの、ごめんなさい。」

「倒れたことを言っているの
なら謝ることではない
でしょう。僕こそ配慮が
足りませんでしたね。」

優しく謝罪を断られて、
沙羅は残念な気持ちになる。
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