モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
朔夜の兄は、非常に
より好みの激しい
性格らしい。

その兄に、あれほど
気にいられる人間が、
血のつながりが
半分しかないと知って
たやすく手のひらを
返すような心の狭い女で
あるわけがない、と
朔夜は異様な自信を
持って断言した。

「…くだらない妄想より、
彼が選んだという事実の方が
僕にとっては重要なこと。
それだけですがね。」

そう、少しキツい呟きを
もれ聞いて、沙羅は自分が
恥ずかしくなる。

朔夜は、彼の兄を誇りに思い、
兄に対して強い信頼をもっている。

なのに、自分は、どうだろう。

姫乃の妹である沙羅は、
姫乃を誰よりも誇りに
思っているはずなのに。

なのに、彼女が今まで
与えてくれたモノを
疑うなどと。
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