モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…もう、変なことを
考えるの、やめます。」

完全に、不安をぬぐえた
わけではなかったが、
それでも、兄姉に対して
同じ思いをもつ朔夜に
劣るような考えを
持つのは嫌だ。

そう思うと、止まらなかった
涙は、ぴたりと止まった。

「…ゆっくり、休みなさい。」

もう大丈夫だろうと、
穏やかに微笑んで、朔夜は
部屋のドアを閉めて
ダイニングにもどろうとする。

姉に嫌われるかも知れないと
いう心配はおさまったが、
今度は化け物の夢が沙羅の
脳裏をよぎった。

もし。また、悪夢をみて。

今度は大事な姉が目の前で
化け物に食べられる夢だったら。

ぞっとして、沙羅は身震いする。
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