モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
姫乃は、よく知っている
そのフルネームを
押し込んでいった。

ガチャリ、と、部屋の中に
解錠を告げる音が響く。

「…あった。」

安堵から、今にも泣きだし
そうな顔で、姫乃が呟く。

鍵のあいた引き出しの中には、
繊細な装飾の施された
紋章入りの小箱と、同じく
紋章の刻まれた銃と。

そして、姫乃がずっと
探していたモノが入っていた。

姫乃は、大事に大事に
それを丸め、小箱と銃と
共に懐にしまいこんで
急いで自室に戻る。

それは、この城と城の建つ
土地の所有を示す
モントリヒト城の
権利書だった。
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