モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
昼寝の時ぐらいあの
ロッキング・チェアを
使えばいいのに、凍夜は
いつもここで寝ている。

使わないなら、姫乃の
部屋で使わせてくれれば
いいのに。

そう思って、コーヒーを
机に置き、ムッとしながら
凍夜の寝顔をのぞきこむ。

「…。」

そろそろ起こしても
いいかしらと思い、
肩に手をかけようと
して思いとどまった。

気持よさそうな寝顔を
見ると、起こすのは
少しもったいない。

淹れたてのコーヒーは
冷めてしまうけど、
もう少しだけ…いや、
起きるまで見てたって、
どうせ気付かれや
しないわよね。

そう思って、凍夜の
整った顔をじっと見つめる。
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