モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

悪戯―凍夜

机にうつぶせてまどろむ
凍夜の耳に、自室のドアが
開く音が聞こえた。

そろっと、足音を
立てない様に部屋に
入ってきたのは
姫乃だろう。

身体は動かさず、
うっすらと目を
開けると、凍夜が
貸した本を棚の上に
置く姫乃の姿が見えた。

まだ少し眠いので、
凍夜は気付かない
ふりをして再び目を
閉じる。

コーヒーの香りと共に
自分に歩み寄る姫乃の
気配を感じるが、
姫乃は凍夜のすぐ横で
立ち止まり、そこから
動こうとしない。

しばらく、そうして
いるので、不審に思って
目を開けようとすると、
突然、頭を撫でられた。

髪の流れに沿って、
優しく優しく撫でられる。
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