モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
恥ずかしがってこちらに
目を合わせようと
しないのが少し気に
くわないので、凍夜は
意地の悪い会話をふっかけた。

「…運命の姫君、は
気にいらなかったの?
キミが好きそうな話
だったけど。」

びくり、と、大げさな
ほど、姫乃の肩が跳ねた。

予想通りの反応に凍夜は
笑みを浮かべる。

凍夜もそうだが、姫乃は
読書のジャンルを問わない。

凍夜が適当に見つくろった
本を読み、そのあとを
追うように同じ本を姫乃が
読んで、気が向けば感想を
交わす。

これが二人の日課だ。

そうしていると、自分一人の
時間も過ごせるし、同時に
同じ時間を共有できて楽しい。

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