モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
凍夜の言葉に、突然
姫乃は静かになった。

耳まで真っ赤に染めて、
何か言おうにも言葉が
出てこないのか口を
ぱくぱくと開閉し、
どうにもならなく
なってうなだれる。

「…。」

先ほど口にしかけた
ことをもう一度
問いかけようとして、
凍夜は一度考え直す。

むし返せば、また
抵抗されるだろう。

別にそれはそれで
おもしろいから
かまわないが、姫乃が
自分の膝の上で慣れた
犬猫のように大人しく
しているのを
やめさせるのも
もったいない。

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