モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
その上、姫乃の
昔話から推察するに、
彼女を溺愛していた
父親は、異性についての
情報を極力愛娘に
与えないよう
そうとうな注意を
払っていたようだ。

そうして、両親の他界後、
年配の大人ばかりの村で
成長した彼女は、異性…
こと恋愛にはさして
興味を持つこともなく、
自身の持つその器量の
価値もよくわからない
まま大人になった。

そんな彼女だから、
きっと、このドレスを
見ればに委縮するに
違いない。

いらない、似合うわけが
ないと決めつけて袖を
通そうともしないだろう。


…それでも、凍夜は
このドレスを送りたかった。
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