モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
もちろん、ノークスを
引き合いにした下心は
あるが、凍夜は彼女に、
教えてやりたいのだ。

昔、彼女への間違った
好意で、彼女自身の
自己評価を下げた
連中ではなく。

今、彼女に惹かれて
いる凍夜の方が、
ずっと正しいのだと、
教えてやりたい。

そう思って、姫乃に
一番映える色の
ドレスを作らせた。

彼女は間違いなく
このドレスを着こなせる。

…ただし、問題は、
嫌がるだろう彼女に
どうやって着せるかだ。

数日そのことに頭を
悩ませていた凍夜は、
先ほど、コーヒーを
こぼして火傷の心配を
したときにふとその
解決策を思いついて、
浴室で姫乃の頭から
ぬるま湯をかぶせた。
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