モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「姫乃!」

駆け寄った凍夜が姫乃を
助け起こすと、彼女は
背中をおもいきり
打ちつけてしまったらしく、
苦しそうにむせこんだ。

うっすらと目に涙を浮かべ、
痛みのあまりすがることも
声を出すこともできないで
いる姫乃を、凍夜は慎重に
運び出して、部屋にある
ロッキング・チェアに
そっと下ろした。

苦しそうに息を整える
彼女の背中を優しくさする。

背中には特に怪我の様子は
ないが、あれだけ派手に
打ちつけては、あとで
内出血のあとが浮かぶかも
しれない。

そう思いながら、
落ち着きを取り戻した
凍夜は姫乃の様子に
ぎくりとした。
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