モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
姫乃は、激しい痛みが
引いてきたのか、先ほど
よりはだいぶ楽そうな
顔で、呼吸を整えている。


まだ荒い息づかいが、
静かな部屋に溢れる。


瞳は、先ほどの衝撃で
うるんだまま。


入浴で温まった白い
肌からは、いつもより
強く香る、甘酸っぱさが。


バスタオル一枚のみで
隠れた白い肌。


それらの全てが、彼女の
何気ない動きを酷く淫猥な
モノに見せて、一度は
おさまったはずの凍夜の
情欲を誘う。

「凍、夜…?」

凍夜の視線に気づいた
姫乃が、頼りなげな声で
その名を呼んだ。

抗いきれないその甘い
囁きに、凍夜は自分の
理性の糸を緩めた。
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