モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
もし、餓死したり空腹で弱っているところを
他の吸血鬼に襲われ殺されでもしたら、
凍夜だけではなく片割れであるノークスも
命の危機にさらされてしまう。

吸血鬼はすべて男児の双生児で生まれ、
片割れが死ねばもう一方も
あとを追うように衰弱死してしまうのだから。

凍夜に関して基本的に健康な状態であれば
一切の心配をしないノークスも、
彼の食事だけは神経をとがらせていなければならい。

「…まぁ、しばらくは食事の心配を
することもないですから、良しとしますか。」

そう、彼女の血は確かに絶品だった。

感情豊かな女の血は美味い。
すくなくとも、凍夜が拒むような味ではない。

そう結論づけて、ノークスも席を立つ。

控えていた従僕に、片づけと昼食の
用意を命じて、ノークスは応接室をあとにした
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