モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
ふと、目の前で眠って
いた男が目を覚まし、
姫乃と視線をあわせた。

「…やっぱり、
よく似合ってるね。
気に入った?」

目の前の男の口が
動き、耳元でそう
尋ねられる。

「…ええ…。」

何か不思議な
感じがして、
姫乃はあいまいな
声で返事をした。

「そう。」

短く返された
返事はやはり、
耳元で聞こえる。

目の前の男が、
穏やかに微笑んで、
薔薇の女を
抱き寄せた。

一緒に、姫乃の身体も
姫乃を包み込む
優しいぬくもりに
抱きこまれる。

「…。…凍、夜?」

ようやく、向かいの
男の名前と顔が重なる。
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