モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「気持ちよかった…?」

姫乃の心の中を
見透かしたように、
妖艶な笑みで凍夜が
ささやいた。

はっきりと、ここで
凍夜としたことを
思い出して、姫乃の
恥ずかしさは
過去最高速で
最大値まで達する。

反射的に身を引いて、
凍夜から離れようと
するが、それすら
見透かされていたのか、
凍夜はあっさりと姫乃を
捕まえた。

「…逃げられない様に
組み敷かれるのと、
自分の意思で僕の
膝の上にいるの、
どっちがいい?」

「どっちだって、
わたしが恥ずかしい
ことに変わりない
じゃない!」

「じゃあ、どっちでも
問題ないね。僕も同感だよ。
どっちにしても、
僕が楽しいことに
変わりはない。
…でも、せっかくだから、
組み敷いてあげようか。」

「ちょっ…!?」

有無をいわざず、
ベットに運ばれ
投げ出される。

そのまま、覆いかぶさって
きた凍夜は、しかし、
姫乃を組み敷くことはせず、
背中から抱え込むように
姫乃を抱きしめた。
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