モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…。」
「顔を見なければ、
恥ずかしくはないだろう。」

恥ずかしさで
逃げ出したい姫乃に
対する彼なりの、
譲歩らしい。

抱きしめる腕が、
胸のふくらみを
押さえつけていたり、
腰より少し下の
あたりだったりと、
だいぶきわどいところに
あたっていることは、
あえて気にしない方が
いいだろうか。

恥ずかしさは十分
残っているのに、
背中に凍夜の
ぬくもりがあると
安心感の方が
強さをまして、
姫乃は無抵抗の
意思を示すように、
凍夜の腕に自分の
手を重ねた。

「ドレス、とても
似合っている。」

用意した凍夜自身が、
よほど気に入って
いるのだろうか。

もう一度、賛辞を
贈られる。
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