モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…ありがと。でも、
こうしてたら、しわに
なっちゃうわね。」
手触りからして、
おそらくシルク製の
ベルベット生地だと思う。
モントリヒト領には、
いくつか仕立て屋が
あるが、こういう
高級品を扱う店は多くなく、
どのお店も一般人には
だいぶ敷居が高い。
そんなお店の、
おそらくオーダーで
あろう品を素知らぬ顔で
用意するあたりが、
凍夜たちが上流階級の
出ではないかと
以前からの推測を裏付ける。
「僕が贈った物を僕の為に
使ってるんだから、
問題ないよ。」
「…でも、せっかく
凍夜に貰ったのに、
もったいないわ。」
「また、贈るからいいよ。」
そんなことをされても
困る、と言いかけて、
やめる。
言ったところで、
凍夜ならやる時は
絶対やるのだろうから、
今、正直に反論して
無駄に機嫌を
損ねたくはなかった。
この、とても穏やかな
時間が終わるのは
あまりにもったいない。
こうしてたら、しわに
なっちゃうわね。」
手触りからして、
おそらくシルク製の
ベルベット生地だと思う。
モントリヒト領には、
いくつか仕立て屋が
あるが、こういう
高級品を扱う店は多くなく、
どのお店も一般人には
だいぶ敷居が高い。
そんなお店の、
おそらくオーダーで
あろう品を素知らぬ顔で
用意するあたりが、
凍夜たちが上流階級の
出ではないかと
以前からの推測を裏付ける。
「僕が贈った物を僕の為に
使ってるんだから、
問題ないよ。」
「…でも、せっかく
凍夜に貰ったのに、
もったいないわ。」
「また、贈るからいいよ。」
そんなことをされても
困る、と言いかけて、
やめる。
言ったところで、
凍夜ならやる時は
絶対やるのだろうから、
今、正直に反論して
無駄に機嫌を
損ねたくはなかった。
この、とても穏やかな
時間が終わるのは
あまりにもったいない。