モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…キミに、
看取ってほしい…。」

しんとした部屋で
凍夜はぽつりと呟いた。

「…看取…る…?」

「僕が死ぬときに、
そばにいてほしい…。」

穏やかではない
その言葉に、姫乃は
思わず身体を捻って
凍夜に向き合う。

凍夜は、静かに
姫乃を見ていた。

「200年近く
生きてるからね。
自分の死に際のことを
考えることもある。」

凍夜の視線が、
和らぐ。

「…永く生きるのは、
辛い?」

彼の生きてきた月日は、
姫乃が容易に想像できる
ものじゃない。

そう感じると、つい、
好奇心めいたものが、
口を衝いて出た。

姫乃の不躾な質問に、
しかし凍夜は不快げな
様子はみせず応える。
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