モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
…やっぱり、似合わないんだわ。
そう思うとほんの少しだけ残念な
気持ちにもなる。

もしかしたら、この姿をみて、
見た目が悪い、とかいう理由であきらめて
うちに帰してくれないかしら。

などと、変な方向に前向きな考えが
頭をよぎる。

しかし、一度うちに帰る、という考えが
頭をよぎってしまえば、姫乃の頭の中は
大事な妹、沙羅のことで一杯になった。

突然、姿を消した自分の為に、無理を
していなければいいのだけれど…。

昨日、姫乃は地主の目の前で
連れ去られたのだから、さすがの地主も
沙羅が失踪に関わっているなどと
的外れな勘ぐりはしないだろう。

しかし、突然の姉の失踪を知らされた
沙羅は心配するにきまっている。

沙羅は姉の姫乃から見ても、
だいぶぼんやりした子だ。

姫乃の事を心配するあまり、
うっかり睡眠や食事を忘れている、
なんてことになっていなければいいのだが。
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