モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「お茶、淹れなおしてもいい?」

なのに、そこまで心中を
察していながら、沙羅は
その理由を聞こうとはしない。

「このお茶でかまいませんよ。」

「でも、違うお茶を
飲んでほしいから。」

珍しく強引に、自分の
意思を押し通す沙羅を
不思議に思いながらも、
気がつけば思考は
沙羅から離れてしまう。

「はい。」

再び、沙羅の声で
我に返った。

「…このお茶…。」

珍しい香りのお茶を
出され、ノークスは
まじまじとカップの
中を覗き込んだ。

「あのね、お姉さまには、
内緒にしてね。
このお茶はお客さんに
出しちゃダメなお茶だから。」

出されたお茶は、
ベリー系の、とても
甘い香りがする。

沙羅が纏う香りと
同じ香りだ。
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